日本民族と日本神話
日本史の担い手は、日本民族です。民族とは言語を共通にし、生活文化の感覚様式を一様にしている共同体です。その意味での日本民族の成立については、何時、どのようにしたか学説が一定しません。ただ、非常に多元的な種族の複合形成が認められるといえます。ごく素地を成した種族は、東南アジアから北上し、黒潮に乗るようにしてこの列島に落ちついたもので、それとシベリア系のサハリン樺太、北海道から南下して分布していたアイヌ種との複合の上に、朝鮮半島から九州をはじめ西日本各地に、幾たびも渡来したツングース系種族が加乗されていると考えられています。それが独自の日本語を介してまとまった民族となった時期を、弥生時代から吉墳時代の間に認める説があります。極東の島国に、吹きだまりのようにして、北、南、西から諸種族が渡来されつつ、今日の日本人を形成したのです。
民族の多元的構成は、いわゆる日本神話の面についてもいえます。日本神話とは、通常古事記や日本書紀の神代巻にある話を指しますが、初代の天皇たる神武天皇の話をはじめ、神功皇后の話に至るまで、その間にも多分に神話的なものがあります。また風土記にもそれが認められます。神話とは、古代人が史実として信じた伝説の中で、神なり神秘的超人が主役となった話です。そうした神話は、皇室や氏族、また地方豪族の間に伝承してきたものですが、それらを奈良時代の歴史や地誌の編集に資料として集めたのが整理され、記紀・風土記となったのです。
日本神話の主部たる神代の話は、天地開閣、国生み、天の岩戸、ヤマタノ大蛇退治、天孫降臨、大国主神の国土奉献などの説話から成ります。しかし元来素朴な伝承的民俗神話が、記紀に収められるにあたり、皇室中心の中央集権国家に都合よいイデオロギーで、修飾されたり加除されたりした所もありました。

スローフード
スローフードは食事くらいゆっくり食べようという、多忙な現代人の食生活を見直す動きで、ファーストフードの反対の意味ということてスローフードと名づけられました。スローフードを提唱し、世界に広めたのがスローフード協会です。この協会は1986年にイタリアのブラという田舎暮らしの男性によって、アメリカ系ファーストフードのローマ出店に対抗して設立されました。89年にスローフード宣言を発表しました。現在では、世界中に7万人以上の会員を持つはどに広がっています。スローフード協会は、ゆっくり歩くかたつむりをシンボルマークに、消え行く恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワインを守り、お金のかかる質のよい素材を提供する小生産者を守ることで、それぞれの土地の食や文化を次の世代に残すことを目的とした活動を行なっています。また、子供たちが食に対して興味を持つことで、文化を豊かにできると考え、活動の一環として子供たちを含め、消費者に味の教青を進めています。日本においても、2001年に日本スローフード協会がNPO法人として認可を受け、活動をスタートしました。日本には未精製の穀物とみそ汁と潰物を中心にして、季節の野菜や魚介類を加えた伝統の料理、いわゆる素食があります。これは古くから日本にある食材や調理法、酒や調味料などを使用するので、本来は日本の日常の食事そのものがスローフードだといえます。しかし、現実的には消滅の恐れのある伝統的な食材や、家計の事情などで生産を続けるのが難しくなっている小生産者が増えてきています。日本スローフード協会は、ホームページから情報発信することで、このような食材や農作物を消滅の危機から守っています。スローフードという言葉は、カゴメのテレビCMでスローフードに帰ろうというキャッチフレーズが便われたことから一般的に知られるようになりました。フードという言葉と、カゴノのCMで便用されだことから、スローフードとは何かの食べ物だと誤解されることも多いようでしたが、協会の会員が増えマスコミに取り上げられるにつれて、スローフードという考えに賛同する人たちが増えてきています。
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